#1【虐待サバイバー】カウンセラーさんと僕【心理カウンセリング録】
- 2019.08.10
- カウンセラーさんと僕
- カウンセリング, 回復, 生きるのしんどい

カウンセリングでのやり取りを物語調で記載してます。
バックナンバーの目次:虐待サバイバー心理カウンセリング実録シリーズ
カウンセラーさんと僕・#1
寒くて長い廊下を歩いて、軽い扉の前に立つ。入るのに躊躇する。
中にいるのは、どんな人なんだろう?何を聞かれるんだろう?と。
そもそも、なんでこんな所に来ることになったんだろう。社会人になって、数年で会社を辞めた。
売り上げ成績はトップだったし、やりたかった企画にも携われた。週末は会社に寝泊まりして、土日を会社で仕事して過ごした。
ブラックとも思わなかった、やりたいことを会社の金でやらせてもらってる、と思っていた。よくできた奴隷だったかもしれない。つまり、楽しく働いていたんだ。
けれど、周囲の皆が「売り上げ」を上げるために全力を尽くしてないのは不満だった。何より、商品の売り方に「ウソ」が混じっていて、それに猛烈に嫌気がさした。
今思えば、どんな仕事にも「ウソ」はある。「ウソ」を買いたい人だっている、そういうことが分からなかった。
転職した会社で、ある日唐突に言われた。
「君さ、ACだと思うから、カウンセリング行ったほうがいいよ」
その一言が、カウンセリングとか、アダルトチルドレンとか、虐待とか、共依存とか、そういうものを知るきっかけになった。
そして知るたびに、自分はいつかカウンセリングに行く日が来るのか?と思ってはいた。だけど行きたくなかった。別に必要も感じていなかった。
誰だって思い出したくない過去はあるだろう。
なぜそれを初見の、信用できるかわからんカウンセラーとかいう偉そうな奴に話さなくっちゃいけないんだよ、と思っていた。今も少し思う。
私の過去を知っている人には意外かもしれないが、私は自分が虐待されていた、としっかり認識していなかった。
記憶はあったけど、水瓶みたいなところに入っていて、わざわざ覗きに行かない、そんな感じ。
それが、子供が生まれて少し変わった。
どうやら、自分が育った環境は、いわゆる「育児」としてありえない環境だったらしいぞ、と気づいた。
そこから紆余曲折あり、今この扉の前に立っている。
「カウンセリングに行ったほうがいいよ」と言ったあの人は、こうも付け加えた。
「行くなら、助けてほしい、自分がよくなりたい!と思っていかないと意味ないよ」
なんだそりゃ、カウンセラーって、こっちの言いたくもないことをズケズケ偉そうに聞いてきて、命令してきて、それに従っていたら、嫌だけどよくなるんじゃねーの?
それが仕事なんでしょ?と思ってた。
妙に薄くて軽い扉を開けると、可愛らしい女の人が立っていた。
こっちに気づくと、はにかみ笑顔で「こんにちは、どうぞこちらに座ってください」とソファーに案内してくれる。
カウンセラーさんと僕の カウンセリングの日々が始まった。
わたしの虐待経験を【物語化】しました
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